二胡の松脂 選び方とおすすめ

二胡を弾いても弾いても良い音が出ない、どうしても雑音が気になる…とは、誰しもが一度は抱えた悩み。その問題、松脂を変えれば少し良くなる…かも知れません。

二胡の音色は、蛇革の張りや木部の材質、弦に弓、フェルト、駒や千斤、台座や重量、そして湿度、奏者本人、などなど、あらゆる要素の影響を受けて決まってきます。松脂一つ変えればすべて解決!とはなりませんが、されど重要な道具の一つ。音色への影響は大きい道具ですので、私も10年以上に渡って色々と試して参りました。

二胡松脂のおすすめ

最初にズバリおすすめ、と言うか私の好きな松脂を書いてしまいますと、それはギョーム、そしてJADE(ジャダ/ジェイド)です。フランス贔屓なわけではありませんが、いずれも仏製の松脂です。

ギョーム

まず、ギョーム。引っ掛かりが強めなのに、雑味の少ない音に寄せてくれる松脂です。今の所、私にとってのファーストチョイス。ベルギーの弓作り匠、ピエール・ギョーム開発の松脂です。フランス産の天然樹脂を用いて、ギョームの秘密レシピで配合され、作られている、とか。

以前、ずっと音色が気にくわない二胡が一本有り、それは千斤を何度も巻きなおし、駒を変え、木ネジを削り合わせ、台座を締め直し…と色々な事をやってみても思った音色が出ない困ったヤツでした。ですが、松脂をギョームに替えてみましたら、音色が大きく改善した、といったことがありました。

それから、二胡の演奏においては「弦をつかむ」感覚が特に重要だと私は思っておりまして、ギョームはそうした感覚も分かりやすくサポートしてくれる松脂です。

 

GUILLAUMEギョーム松脂 アルミ缶

ジャダ

JADE、翡翠松脂を使っている二胡弾きさん、非常に多く見かけます。ギョームと方向性は似ていて、粘度が高いのが特徴です。多少ギョームの方が粘度が強く、その点が私が今の所ギョームの方を選んでいる所以なのですが、JADEも弦の振動をしっかり感じながら演奏できる松脂で、好きな松脂の一つです。

音色の印象としては、どちらかと言えばギョームの方が柔らかく温厚、ジャダの方がハッキリして明快、ですが、いずれもダーク系の松脂ですので、大きな差異はありません。

 

JADE(ジェイド) バイオリン用松脂

松脂のタイプ

松脂は大きく「ライト」と「ダーク」に分けられます。粘度が軽いか、強いか、で分けられるわけですが、およそ色味の薄いものは粘度が低く、暗い色合いのものは引っ掛かりが強い品物が多いため、このようなタイプ名になっていると思われます。

さらりとした使い心地の「ライト」がお好きな方には、黒猫ミランのライトタイプや、ベルナルデル、というチョイスになろうかと思いますが、二胡において「ライト」を選ばれる場合は、しっかりと弾きこまれ、音色が育っている二胡にお使いになると良いように思います。まだ新しく蛇革の硬い二胡、また、テンションが強い弦が張ってある二胡には、私は「ライト」はおススメいたしません。

松脂ほかにも...

黒猫ミラン(ライト)

実は私は以前、数年のあいだ「ライト」派で、こちらのミランをメインで使用しておりました。十分に使い込まれ、革も柔らかく振動が強い楽器には、とても合っている素晴らしい松脂です。ただ、硬いキンキンした音色で悩んでいる、という方には向かないかもしれません。

ベルナルデル

前掲したミラン「ライト」としばらく併用しておりました。バイオリン奏者の中ではベルナルデルを選ばれる方が多いそうです。何でも松脂の粒子が非常に細かい、というのが最大の特徴だとか。「音の純度が高い」という評価がよく聞かれます。

繰り返しになりますが、こうしたライト系松脂は、弾き込まれた二胡向けだと私は思っています。奏者に視点を移して言うならば、弓力の伝え方に難しさを感じていて、弦をとらえてしっかり振動させるのがキツイ…という方は、よほど革が緩んでいない限り、「ライト」タイプを選ぶべきではないように思います。

 

ベルナルデル ミラン 松脂

Pirastro(ピラストロ)ゴールド

私が初めて使った西洋製松脂です。個人的な感想ですが、「ライト」と「ダーク」の間くらいの感触でした。けっこう粉が出ますので、塗りすぎると胴付近がコナコナになります。ゴールドフレックス、という金粉入りの松脂もあり、それはゴージャスに二胡ライフを送りたい方へ。

王小迪特製松脂

二胡の弓職人、王小迪さんプロデュースによる二胡専用松脂があるのをご存じでしょうか。中国の二胡演奏家らとの共同開発品で、民族楽器研究の成果に基づいて作られたそうです。陸林生二胡を昨年購入したときに一緒にこの松脂も購入し、約1年間使用してみました。ベルナルデルといった「ライト」タイプより引っ掛かりは強いですが、ギョームやジャダほどではなく、ちょうど中間を狙った作りです。演奏時の粉噴きはかなり少なめで、長く使えるコストパフォーマンスも〇。

音の純度、という面では西洋松脂に軍配が上がるように感じましたが、民族楽器たる二胡には、やや枯れたような哀しい音の魅力を求める人も多く、伝統色の濃い音を求める方は試してみて欲しい松脂です。

最後に

以上、松脂について書いてみましたが、いかがでしたでしょうか。私自身勉強になりました。使っている楽器の状態や奏者の弾き方によって、「ダーク」タイプか「ライト」タイプか、好みが分かれてくると思います。松脂ひとつ選ぶのにこだわりを持つのも、二胡を学ぶ上での一つの楽しみ。ぜひ自分のいちばん好きな松脂を見つけて下さい!他にもこんな松脂試したよ、とか、自分はこう感じました、とかありましたら、ぜひコメント欄で教えてくださいませ。


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